電視観望や天体写真、極軸合わせにも使える Windows 向けアプリ SharpCap にはバージョン 4.1.11226 からプレートソルビング機能 SharpSolve が標準搭載するようになりました。
従来は、別途プレートソルバーをダウンロードしてインストールして設定・・・するなどの手間が必要でしたが、SharpCapとても簡単に設定ができる上に高速な応答をしてくれるので、今回はインストール方法から実際の使用方法までを解説いたします。
本機能は無料版 SharpCap でも使用できるので、是非使ってみてくださいね!
プレートソルバー / プレートソルビング ってなに?
天体望遠鏡を向けている方向がどこなのかをカメラを使って位置を割り出すことをプレートソルビング呼びます。そして、その機能を搭載したソフトウェアがプレートソルバーです。
プレートソルバーは色々な開発者によって提供されていて、そのうちの一つが以前ご紹介した ASPS です。
従来のプレートソルビングを使わない場合は、以下のステップで天体望遠鏡を目的の天体へ正確に向けていました。
- 架台制御機 (ハンドコントローラーやSynScanといったスマホアプリ)に目標天体をセット
- 架台が電動モーターを動かして目標天体へ天体望遠鏡を向ける(自動導入と呼ばれる機能)
- カメラの映像を見ながら天体望遠鏡の方向を微調整する
上記のうち、3番の手順をコンピュータにやらせてしまおう!というのがプレートソルビングです。
SharpCap とは?
カメラからの映像を表示したり、制御をするためのソフトウエアです。天体望遠鏡の架台を操作することも出来たりと高機能です。詳しくは以下のページをご参照ください。
まずは SharpCap を最新版にアップデートしよう!
SharpCap公式ページの「Download」ページから最新版をダウンロードしましょう。以下のページを開いてください。
ページ内の「Latest Version」の直下に2つのインストーラーが配置されています。通常は64-bit版で良いでしょう。とても古いカメラや架台を使っている場合は32-bitが望ましい場合があります。
ダウンロードしたインストーラーファイルをダブルクリックして、インストールを始めましょう。
インストーラーが起動すると、ライセンス契約条件の画面が表示されます。内容に問題がなければ「ライセンス契約条件に同意します」のチェックボックスにチェックを入れて、「インストール」ボタンをクリックして先に進みます。
お使いのパソコンによっては、以下のようなダイアログが表示されることがあります。この画面はSharpCapインストーラーがWindowsシステムに変更をするので許可するかどうか?という確認です。今からインストールをしたいわけですから、「はい」をクリックして先に進みましょう。
インストールが始まると、セットアップの進行状況という画面が現れます。しばらく待ちましょう。
インストールが完了したら、早速SharpCapを起動して設定を始めましょう。
「起動します」をクリックします。
SharpCap の設定
SharpCapの標準搭載プレートソルバーである SharpSolve を使用するには、設定を変更する必要があります。SharpCapメニューの「ファイル」から「SharpCapの設定」をクリックして、設定画面を表示しましょう。
SharpCap設定画面が表示されたら、画面上部の「プレートソルブ」タブをクリックしてください。
「プレートソルブ」タブの一番上のプルダウンメニューから、「SharpSolve (SharpCap’s built in plate solver)」をクリックしてください。
これで、SharpSolveが使用可能になりました。
もしも、初めてプレートソルビングを行う場合は天体望遠鏡の情報を入力した方が良いでしょう。
「望遠鏡の焦点距離」の項目にご使用になる天体望遠鏡の焦点距離を入力してください。
設定が終わったら、画面下部の「OK」ボタンをクリックして設定を保存しましょう。
プレートソルビングしてみよう!
では、実際に天体導入をしてからプレートソルビングしてみましょう。
まずは、SynScanもしくはハンドコントローラーなどで天体導入を実行してください。天体望遠鏡が目標天体の方向に向いて止まった状態が以下の画面です。画面内には目標天体が写っていません。
ここで、プレートソルビングを行ってカメラの視野内に目標天体が入るように微調整してもらいます。
SharpCap画面右下の「望遠鏡制御」下部にあるボタンをクリックすると、プレートソルビングが開始されます。
プレートソルビングが行われると、画面上部に帯が表示されます。
しばらくすると、緑色の帯が表示されます。これがプレートソルビング成功を意味します。
他のプレートソルバーを使用されたことがある方は、処理速度に驚くかもしれません。SharpSolveはインデックスの最適化やデータベースの圧縮、インデックスファイルへの事前計算、そしてマルチコア処理のサポートによってこの速度が実現されました。
SharpCap Forum の開発者ポストより
プレートソルビングに失敗したら?
プレートソルビングが失敗する原因は一般的に、ピントが甘かったり星の数が少なすぎたりなどがあります。今回は一例として、SharpSolve ならではの原因を見てみます。
標準の設定ではSharpSolveは最小0.5度の視野であることが前提となっています。長い焦点距離の天体望遠鏡を使用する場合は、別途インデックスファイルをダウンロードするとプレートソルビングに成功するかもしれません。
SharpCap設定の「最小視野」設定を「0.25度」に指定して、「インデックスファイルのダウンロード」をクリックしてください。
この操作によって、最小0.25度までならSharpSolveはプレートソルビングを行うことができるようになります。
他のプレートソルバーとはどう違うの?
以前ご紹介した ASPS (All Sky Plate Solver) も同じくプレートソルビングができますが、詳細な設定をすることができたりプレートソルバー単体で画像を読み込ませるなどができます。
SharpCap で使用する上では、最も違いが出るのは処理速度でしょう。SharpSolveはSharpCap内蔵機能である為、外部ソフトウエアとの連携をするためのオーバーヘッドが無いため即座に処理を開始できるメリットがありますし、後発のソフトウエアということもあってソルビングアルゴリズムが洗練されています。
ここでは、実際にどれくらいの処理時間の差があったかをストップウォッチを使って測ってみました。
プレートソルバー | 処理にかかった時間 |
SharpSolve | 1.83秒 |
ASPS | 9.06秒 |
私の環境では、大差で SharpSolve が勝利しました。今後は SharpSolve だけ使っていればいいのでは?とも考えています。
最後に
日々進化を続ける SharpCap ですが、ついにプレートソルビングもビルトインされました。昨今はオールインワンのスマート天体望遠鏡が登場していますが、SharpCapもその流れに乗っているのかもしれません。
ところで、SharpSolveについては本記事作成の2ヶ月ほど前に ほしぞloveログ で解説されていました。情報が早い!
それでは、皆さま良い天文ライフを!
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