N.I.N.A と Three Point Polar Alignment プラグイン
N.I.N.A のプラグイン「Three Point Polar Alignment」を使用すれば、南の空でも極軸合わせを行えるようになります。今回は N.I.N.A のインストール方法から南の空を使った極軸合わせを行なっていきます。
N.I.N.A とは
Nighttime Imaging ‘N’ Astronomyの略で、天体撮影を強力にサポートしてくれるWindows用フリーソフトウェアです。世界中の多くのユーザーが天体写真の撮影に使用しています。
全ての天文機器を接続して制御することが出来、赤道儀はもちろんキヤノンやニコンの1眼カメラをUSBケーブルでパソコンに接続すれば撮影を行なってくれます。なので、天体用専用カメラを持っていない場合でも N.I.N.A を使えばお手持ちの1眼カメラでプレートソルビングの恩恵を受けることもできます。
バージョン 2.0 からはサードパーティのプラグインも使用できるようになりました。今回はN.I.N.Aの豊富な機能のごく一部である極軸合わせ機能を紹介します。
Three Point Polar Alignment プラグインとは
赤道儀は設置の際に極軸合わせを行いますが、北極星を使って調整します。この為、北側が開けていない場所では行えません。
このような状況でも極軸合わせを行えるようになるのが、この「Three Point Polar Alignment」プラグインです。
望遠鏡を任意の方向(例えば南天)へ向けた後、プラグインを実行すると自動的に架台(AZ-GTi等)を動かしながら3点をプレートソルビングして極軸のズレ量を計算してくれます。その後は常時プレートソルビングが働くので、極軸を調整していくことが出来ます。
N.I.N.A のダウンロード
以下の公式サイトのダウンロードページからインストーラーパッケージをダウンロードしてください。
ダウンロードすると、以下のような zipファイル が保存されます。
このzipファイルを解凍すると、インストーラーが現れます。
N.I.N.A のインストール
ダウンロードしたインストーラーを起動すると、ライセンス規約が表示されるのでチェックボックスにチェックを入れてライセンスに同意した後、「Install」ボタンをクリックしてください。
インストールが開始される前に、ユーザーアカウント制御画面が表示されることがあります。この場合は「はい」をクリックして下さい。
インストールが完了するまで待ちます。
インストールが完了すると、以下のような画面が表示されます。早速起動してみましょう!「Launch」ボタンをクリックするとN.I.N.Aが起動します。
起動準備が行われている最中は、以下のようなロゴが画面中央に現れます。起動が完了するまで待ちましょう。
起動が完了すると、以下のように N.I.N.A のメイン画面が表示されます。
N.I.N.A の日本語化
N.I.N.A は日本語表示をサポートしていますので、日本語表示に切り替えてみましょう。
画面左の「Options」ボタンをクリックしてください。
すると、設定画面が表示されます。設定画面の右にある「Language」プルダウンをクリックして下さい。
対応言語一覧が表示されるので、「Japanese (Japan)」をクリックします。
すると、即座に画面が日本語で表示されます。
プレートソルバーの設定
「Three Point Polar Alignment」プラグインでは、極軸合わせの際に常時プレートソルビングを行うことになります。このため、あらかじめプレートソルバーの設定を行う必要があります。
プレートソルビングについては以下の記事をご参照ください
今回は上記事で取り上げた All Sky Plate Solver を使用していきます。
設定画面内の「プレートソルブ」をクリックして下さい。
すると、プレートソルブ設定画面が表示されます。
「プレートソルバー」と「ブライドソルバー」は共にAll Sky Plate Solverを選択します。
All Sky Plate Solverのインストール先をN.I.N.Aに教えてあげる必要があります。「ASPS位置」をクリックして下さい。
すると、「開く」ダイアログが表示されます。
N.I.N.A インストール直後では、インストール先とは異なる場所が設定されてしまっています。通常は「C:\Program Files (x86)\PlateSolver」にインストールされています。こちらを設定します。
最後に、プレートソルビングを行う際の撮影条件を設定します。この値はお使いの鏡筒とカメラによって変わるため、最適な値を探してみて下さい。暗すぎず、ノイズが少なく、少ない露出時間というのが目安になります。
プラグインのインストール
プラグインをインストールしていきます。
プラグイン管理画面は、画面左の「プラグイン」をクリックして表示します。
すると、プラグイン管理画面が表示されます。N.I.N.A をインストールしたばかりなので「プラグインがインストールされていません」と表示されています。
インストール可能なプラグインを探すために、「利用可能」ボタンをクリックします。(クリックする前にインターネットに接続されていることを確認して下さい)
数秒待つと、プラグインリストが表示されます。
それでは、今回の目的でもある極軸合わせ用のプラグインをインストールしていきましょう。
「Three Point Polar Alignment」をクリックし、「インストール」ボタンをクリックして下さい。
インストールが完了すると、プラグイン名の右ボタンが「再起動が必要です」と表示されます。クリックすると N.I.N.A が再起動します。
N.I.N.Aが再起動すると、インストール済みプラグインに「Three Point Polar Alignment」が表示されます。
機器の接続
カメラの接続
カメラを接続します。「機材」から「カメラ」をクリックするとカメラ接続画面が表示されます。
画面上部のプルダウンをクリックすると、接続可能なカメラ一覧が表示されます。今回は私が所有しているNeptune-C IIを接続します。
Player One Neptune-C II は非冷却CMOSカメラです。惑星からDSOの撮影や電視観望をこなせます。近赤外光領域での感度が高いので、IRパスフィルタを使用して近赤外オートガイドにも応用可能な便利なカメラです。
接続ボタンをクリックすると、接続が開始されます。
カメラが接続されると、右下にポップアップが表示され、N.I.N.A画面上にカメラの諸情報が表示されます。
赤道儀(AZ-GTi)の接続
赤道儀を接続します。今回は赤道儀化した AZ-GTi を使用します。AZ-GTiについてと、ファームウェアアップデートについては以下の記事をご参照ください。
まずは SynScan Proを起動し、AZ-GTiと接続を済ませます。SynScanProを起動して下さい。
Windows上でSynScanを使用する方法については以下の記事をご参照ください。
SynScanが起動したらAZ-GTiと接続します。
N.I.N.A画面左の「機材」の中の「望遠鏡」をクリックし、望遠鏡設定画面を表示します。この画面から赤道儀への接続設定を行います。
上部プルダウンから「SynScan」を選択します。
接続ボタンをクリックして接続します。
すると、「観測地の設定の同期」というダイアログが表示される場合があります。GPSドングルを使用している場合はSynScanが既に位置情報を持っているので「望遠鏡からN.I.N.Aへ」ボタンをクリックして下さい。
GPSドングルがあると、こういったソフトウェア連携の際も手入力の手間が減りますのでおすすめです。GPSドングルについては以下の記事をご参照下さい。
接続が完了すると、右下にポップアップが表示されます。また、赤道儀の諸情報が画面上に表示されます。
機材の設定
接続した機材の設定を行います。「オプション」から「機材」をクリックして下さい。
望遠鏡の設定値を入力して下さい。私の望遠鏡の場合は焦点距離360mmの口径60mmですので、以下のような値になりました。
極軸合わせ
全ての機器が接続されました。極軸合わせを行なっていきましょう。
望遠鏡を星が見える方向に向ける
SynScanを使って、望遠鏡を動かします。
Three Point Polar Alignment は赤経軸を動かして3点を見ていくので、赤経軸を動かしやすい方向に向けるとよいでしょう。
SynScanの恒星追尾が有効になっていることを確認して下さい。
Three Point Polar Alignment の設定
「撮像」をクリックします。
撮像画面が表示されるので、「Three Point Polar Alignment」タブをクリックします。
まずは Three Point Polar Alignment 設定を行います。「Start from current position?」をクリックしてONにします。この設定は、現在の望遠鏡の向きから3点の撮像を始めるということです。
以下の項目ではプレートソルビングの撮像条件を変更することができます。
Three Point Polar Alignment 実行
実行ボタンをクリックして開始します。
開始されると、3点の撮像およびプレートソルビングが行われます。
3点の撮像が終わると、極軸のズレ量がリアルタイムで表示されます。
極軸を合わせる
画面下部の数字がズレ量です。
Three Point Polar Alignment は常時プレートソルビングを行なっていますので、極軸を調整して各値を0に近づけていきましょう。
極軸微動雲台を調整する度に、画面の値が変化していきます。
秒角レベルまで合わせることができました。これにて完了とします!
撮影開始!
後は存分に撮影や電視観望を楽しんでください!
私の自宅のベランダは北を背にしているので、今回の方法で極軸合わせを行なっています。以下の写真のように、極軸のズレはかなり少ないことが分かります。
最後に
北極星を用いない極軸合わせのツールは多く存在しますが、フリーソフトで行えるこの方法は最もリーズナブルなのではないでしょうか。
N.I.N.A はこの機能以外にも非常に有用な機能が盛り沢山です。今後も色々とご紹介していけたらと思います。
それでは、皆さま良い天文ライフを!
コメント
N.I.N.A画面左の「オプション」の中の「望遠鏡」をクリックし、望遠鏡設定画面を表示します。
「機材」の中の「望遠鏡」だと思われます。
私の場合は、どうやってもAZーGTIを認識してくれませんので、挫折しましたがw
ご指摘ありがとうございます!
修正させていただきました!
初期色の水色と黄色、見づらいですよね。
オプション-UI色スキームで背景色を暗いものにすると見やすくなり、屋外でも目に優しくなります。
自分はプラグインオプションの設定で「Alttude Error Color」「Azimuth ErrorColor」をオレンジ、暗めの水色に変更しました。
毎度ありがとうございます☺
おお、なるほど!
独特な色使いなので難儀する方も多いかもですね。
設定方法を追記しておきます!